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おいしいNEWS TOPへもどる家庭用オーブンで楽しめる陶芸にチャレンジ!【1】メインディッシュを彩る基本の平皿
陶芸と聞くと、教室に通わなければならないといったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は「オーブン陶土」と呼ばれる専用粘土と家庭用オーブンがあれば、キッチンで気軽に陶芸が楽しめるのです。そこで今回は、テレビや本を通してオーブン陶芸の楽しさを伝えている陶芸家の酒井智子さんに、初心者でも楽しめる"基本の平皿"の作り方を教えていただきました。
こんにちは、酒井智子です。陶芸には「ひも作り」や「手びねり」など様々な技法がありますが、今回は全ての作品を「たたら作り」と呼ばれる初心者でも挑戦しやすい方法で作っていきます。たたら作りとは、厚みを均等に延ばすためのガイドとなる“たたら板”を、粘土の両端に置いて延ばす技法。簡単な技法のため、「こうしたらどうだろう?」と頭を使い手を動かしながら、ぜひお子さんと一緒に楽しんでみてください。ベースとなる粘土の色味はもちろん、埋め込む粘土の色味や配置を変えるだけでも、見本とは異なる世界でひとつだけの平皿ができあがりますよ。
材料・道具 <20cm×20cmの平皿1枚>
・ピンクのオーブン陶芸用粘土 2パック〈※1〉
・ベージュのオーブン陶芸用粘土 適量〈※2〉
・オーブン陶芸用コーティング剤〈※3〉
・6mmの厚さのたたら板 2枚(6mm厚の板で代用可)〈※4〉
・めん棒
・綿布
・スポンジ
・定規
・カッター(または竹串)
・筆
※オーブン陶芸用粘土・化粧土・コーティング剤は画材店やクラフトショップに加え、インターネットでも購入可能です。その他の道具は、100円ショップの商品や自宅にある身近なもので代用できます。
作り方 −粘土を皿の形にする –
(1)綿布の上にピンクの粘土を置きます。粘土の両端にたたら板を置いたら、めん棒で均一な厚さになるよう延ばします。
(2)定規を使い、カッターで四角の形に整えます。お子さんに行ってもらう際は、カッターの代わりに竹串を使うと安全です。
(3)2の粘土の上に丸めたベージュの粘土を置き、その上からめん棒で延ばします。丸めた粘土を少し平たく潰してから置くと、きれいな水玉模様になります。
(4)たたら板を使い、お皿の淵を立ち上げます。水で濡らしたスポンジや指で、角や切り口が滑らかになるよう整えます。
※小さなお子さんと一緒に行う際は、粘土を厚め(7mm以上)に延ばした方が作業がしやすいです。
【ポイント】3〜5日間乾燥させよう
お皿の下に板や新聞紙などを敷き、日陰で風通しの良い場所でしっかりと乾燥させます。十分乾燥されていない場合、焼いている途中でヒビや割れが入る可能性があるため、注意が必要です。
また陶芸品は焼くことで強度が増します。そのため乾燥途中の作品はとてもデリケート。焼きあがるまでは片手で持つと折れたり割れたりする可能性があるため、両手でしっかり支えるようにして持ちましょう。
作り方 −焼く −
(5)170〜180度のオーブンで約15分焼きます。焼き時間を延ばすと、焦げたような風合いが楽しめます。
(6)やけどをしない温度にまで冷めたら、筆で刷り込むようにして、お皿の表面からコーティング剤を塗ります。裏面は、テーブルと接地する底面を避けて塗ります。
(7)そのまま30分ほど乾燥させます。手で触りベトベトしていなければ乾いた合図です。
(8)100度のオーブンで約20分焼きます。
※温度調節が可能なオーブンもしくはトースターを使いましょう。電子レンジでは焼くことができません。焼く工程は親御さんが一緒に行いましょう。
完成!自分で作ったお皿なら、料理はもっとおいしくなる
仕事や家事で、日々慌ただしく過ごしていることもあり、普段の食事はスーパーで購入したでき合いのお惣菜に頼ることもあります。ただ、トレーに乗ったお刺身やお惣菜をそのまま食卓に並べるのではなく、お皿に移すといったひと手間を加えるだけでグンと料理がおいしそうに見えるため、うつわの力は不思議です。
今回は水玉模様の平皿の作り方をご紹介しましたが、見本に忠実に作るのではなく「この色とこの色の粘土を組み合わせたら、どんな模様になるだろう」と試行錯誤することこそ、もの作りの醍醐味。見本と同じものを作ることは、初心者の方が工程を学ぶためには大切なことですが、それ以上に大切なことは“考える”こと。お子さんと一緒にコミュニケーションをとりながら、オリジナリティあふれるお皿を作っていただけると嬉しいです。
PROFILE:酒井智子
陶芸家・東京都北区の陶芸会顧問。美術大学にて陶芸を学び、現在は自身の工房にて陶芸教室を主宰。テレビ番組や造形クラブにて、子ども向け陶芸の企画や指導を行うなど、多岐にわたり活躍中。著作に「キッチンでつくるかわいい器
はじめてのオーブン陶芸」(誠文堂新光社)など。公式Webサイトはhttp://sakaikobo.net/(編集/ランサ―ズ)