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調理法ひとつでここまで変わる!リーズナブルな鶏肉をおうちでおいしく食べる方法
2020.09.30

調理法ひとつでここまで変わる!リーズナブルな鶏肉をおうちでおいしく食べる方法

数年前にブームになったコンビニのサラダチキンは、もはや定番食材となり、また世間ではから揚げや焼き鳥などの鶏料理を専門にした店舗が登場するなど、鶏肉需要は近年急速に伸びています。そこで今回はお肉のプロに、人気の鶏肉をおいしく食べるための調理術を教えてもらいました。

■食肉消費をけん引する鶏肉人気

農林水産省の食料需給表によると、2018年度には日本人の食肉消費量は1人当たり33.5キログラムと過去最高となりました。これまで牛・豚・鶏といったテーブルミート(原料肉を加工し、料理ができるようにした肉)の消費量は豚肉が最も多く、次いで鶏肉・牛肉の順で続いていましたが、ここ数年で鶏肉と豚肉の消費量は逆転しました。鶏肉の需要が伸びている背景には、健康志向の高まりから人気となったサラダチキンの登場に加え、昨今の景気低迷や巣ごもり消費の影響からリーズナブルな鶏肉が求められている傾向があげられます。

■5つに分類される鶏肉の部位

「鶏肉には様々な部位がありますが、大きくは『もも肉・むね肉・手羽・ささみ・副生肉(内臓)』の5つに分類されます。その他にも、せせり・ぼんじりといった希少部位をスーパーでも見かけるようになりました。」とお肉のスペシャリストであるエバラ食品の管理栄養士の菊岡はコメント。

今回はこの分類をもとに、身近なもも肉・むね肉・手羽元・手羽先・レバーをピックアップ。それぞれおすすめの調理法に加え、牛肉や豚肉との栄養価の違いについて菊岡に詳しく解説してもらいました。

■5つに分類される鶏肉の部位

■低脂肪・高たんぱく・低価格な鶏肉の魅力

低脂肪・高たんぱく、かつ牛肉や豚肉より安価な鶏肉は、体にもお財布にもうれしい食材のひとつ。菊岡も「サラダチキンがヒットした背景には、“鶏肉”=美意識が高い女性・筋肉をつけたい男性。加えて、加熱済み食材なので、手軽に調理したい主婦や高齢者といった、健康志向の高まりや、社会的背景にマッチしたと考えられます。実は、ヒットする前のサラダチキンには皮がついていたそうですが、思い切ってカロリーの高い皮を取り、より低カロリーにしたことで大ヒットした、という有名な話もあります。」とコメント。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)でカロリーを比較すると、「牛ばら」は426kcal、「牛もも」は209kcal、「豚ばら」は395 kcal、「豚もも」は183kcal。対して、「鶏むね(皮つき)」は145kcal、「鶏むね(皮なし)」は116kcal、「鶏もも(皮つき)」は204kcal、「鶏もも(皮なし)」は127 kcalです。

牛肉・豚肉と比べると、鶏肉のカロリーが低いことがわかります。

鶏肉は可食部のなかでも皮に脂質が多く含まれるため、皮を取るだけでカロリーを大幅に抑えることができるのです。そして、「皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAやコラーゲンが多く、なかでもレバーに含まれるビタミンAと鉄分は圧倒的」と、栄養面も見逃せません。

■低脂肪・高たんぱく・低価格な鶏肉の魅力

■鶏肉のより良い食べ合わせ

「低脂肪・高たんぱくな鶏肉ですが、食べ合わせを考える必要があります。高齢の方は脂肪分が少ない食事に偏ってしまうとフレイルの原因でもある、低栄養に繋がることもあります。また減量中はカロリーを抑えるために油を抜きがちですが、そうなると肌がカサカサになるなど体自体が乾燥してしまうため、適度な脂肪分は必要です。」と菊岡はコメント。脂肪の少ないむね肉やささみを調理する際は油でソテーしたり、サラダチキンにはオリーブオイルをかけるなど、鶏肉を食べる際には良質な油も同時に摂取することをおすすめします。

また、朝はエネルギーをきちんと摂取しなければ脳が働かないため、炭水化物と一緒に摂るのがおすすめです。雑炊の具に入れたり、パンに挟むなど、エネルギー源となる糖質も一緒に摂取しましょう。さらに、食物繊維やミネラルを補うため、野菜や海藻を加えたサラダなどをプラスするとより栄養バランスがよくなります。

■鶏肉のより良い食べ合わせ

■意外と知らない!?食中毒を予防する鶏肉の下処理方法

トレーやポリエチレン袋から取り出した鶏肉を、そのまま調理している方は意外と多いのではないでしょうか。実は鶏肉の表面には食中毒の原因であるカンピロバクターやサルモネラなどの雑菌が多く付着しているため、調理の下処理は、最後にし、他の食材や調理器具に菌が付着しないように気をつけましょう。キッチンペーパーなどでしっかり水気をふくことをすすめします。

また、トレーにたまったドリップ(冷凍肉を解凍したときに肉の内部から分離して出る液体のこと)は 鶏肉特有のにおいの原因にもなるため、おいしく食べるためにも鶏肉の下処理は大切です。

(注)鶏肉や鶏肉を扱った手を洗う際、シンク周りに雑菌を含んだ水が飛散するため、
二次感染を防ぐためにも、シンクもきれいに洗ってください。

■もも肉の特徴とおいしい調理法

むね肉と比べると肉質はやわらかく、たんぱく質や脂肪が多いためコク深い味わいのもも肉。煮る・蒸す・揚げるなど、どんな調理法とも相性が良いですが、皮目はパリッと、中はジューシーに仕上がるチキンソテーがおすすめです。

■重しを乗せて皮目をパリッと!ジューシーなチキンソテー

<材料>2人分
鶏もも肉…大1枚(約250g)
エバラ黄金の味…大さじ3
サラダ油…適量
〔付け合わせ〕レタス、ミニトマト…適量

<作り方>
(1)鶏肉は余分な脂を取り除き、皮目にフォークで数ヶ所穴をあけます。
(2)フライパンに油を熱し、鶏肉を皮目から焼き、焼き色がついたら裏返し、弱火で中まで火を通します。
(3)キッチンペーパーなどで余分な脂を拭き取り、「黄金の味」を加えて全体にからめます。
(4)皿にレタスとミニトマトを盛り、食べやすく切った(3)をのせて、出来あがりです。

【皮をパリッとさせる裏技】
用意するもの
 ・ミートプレス(なければ、鍋やヤカンに水を入れたもの)

1. フライパンに油を中火で熱し、鶏肉を皮目から焼きます。

2. 焼けてきたら、重しをのせ押さえつけ、皮目がきつね色になるまで焼きます。(こうすることで、鶏の皮面全体が鍋底に密着し、焼きムラなくパリパリに焼きあがります)


3.裏返したら弱火で7~8分加熱して、出来あがりです。

■もも肉の特徴とおいしい調理法

■むね肉の特徴とおいしい調理法 

むね肉の良さは、脂肪が少なく淡白な味のためどんな料理にもなじみやすいところ。しかし、もも肉と比べるとパサつきがち。そこで、調理の際「黄金の味」を下味に使えば、たれに含まれる有機酸の働きにより、たれが筋線維に入り込みパサつきやすいむね肉がジューシーに仕上がります。油との相性が良いため、からあげがおすすめです。

■下味は黄金の味におまかせ!ジューシーに仕上がるからあげ

<材料>2人分
鶏むね肉…250g
エバラ黄金の味…大さじ3
片栗粉…1/4カップ
揚げ油…適量
ベビーリーフ、ミニトマト…適宜

<作り方>
(1)鶏肉は一口大に切り、「黄金の味」をもみ込み、冷蔵庫で約10分置きます。
(2)片栗粉をまぶし、衣をつけます。
(3)揚げ油を中温(160~170℃)に熱し、火が通るまで4~5分揚げて、出来あがりです。
※お好みでベビーリーフやミニトマトを添えてお召しあがりください。

■むね肉の特徴とおいしい調理法 

■手羽先・手羽元の特徴とおいしい調理法

ゼラチン質で脂肪が多く、コクのある味わいの手羽先・手羽元。なかでも手羽元はうま味が強くジューシーな味わいが特徴。手羽元はやわらかくボリュームのある肉質が特徴です。火が通りにくい手羽元は煮込み料理として、また、手羽元よりあっさりした手羽先は、揚げ物がおすすめです。

■鶏とじゃがいものイタリアン

<材料>4人分
鶏手羽元…8本
ベーコン…5枚
じゃがいも…小5個
トマト缶…1缶(約400g)
エバラ黄金の味…100g
ハーブ(ローズマリー、タイムなど) …適宜

<作り方>
(1)鍋に火をかけ、鶏肉とベーコンを入れて表面を焼きつけます。
(2)じゃがいも・トマト缶・「黄金の味」を加え、蓋をして弱火で約30分煮ます。
(3)鶏肉とじゃがいもに火が通ったら、煮汁が少なくなるまで煮詰めて、出来あがりです。
※お好みでハーブを加えて煮込むと、一層おいしく召しあがれます。

■下味は黄金の味におまかせ!手羽先の唐揚げ

<材料>2人分
鶏手羽先…6本
エバラ黄金の味…大さじ3
片栗粉…1/4カップ
揚げ油…適量
レタス、レモン(くし形切り)…適宜

<作り方>
(1)鶏肉は骨に沿って切れ目を入れ、「黄金の味」をもみ込み、冷蔵庫で約10分置きます。
(2)片栗粉をまぶし、衣をつけます。
(3)揚げ油を中温(160~170℃)に熱し、火が通るまで4~5分揚げて、出来あがりです。
※お好みでレタスやレモンを添えてお召しあがりください。

■手羽先・手羽元の特徴とおいしい調理法

■鶏レバーの特徴とおいしい調理法 

鶏レバーは脂肪が少なく高たんぱく。ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・鉄分を豊富に含んでいるため、特に女性におすすめの部位です。豚レバーと比較するとにおいが少なく食べやすいので、「黄金の味」を使ってしっとり仕上げるレバニラ炒めがおすすめです

■下味は黄金の味におまかせ!しっとり仕上げるレバニラ炒め

<材料>2人分
鶏レバー…150g
ニラ…1束
もやし…1/2袋
エバラ黄金の味(下味用)…大さじ1
エバラ黄金の味(味付け用)…大さじ2
片栗粉…適量
サラダ油…適量

<作り方>
(1)レバーは一口大に切り、「黄金の味」で下味をつけ、片栗粉を薄くまぶします。
(2)フライパンに油を熱し、レバー・もやし・ニラの順に炒め、「黄金の味」で味付けして、出来あがりです。

■鶏レバーの特徴とおいしい調理法 

■トレーでの冷凍保存はNG!賢くおいしく冷凍するテクニック

水分量の多い鶏肉は、牛肉や豚肉よりも傷みやすいため、消費期限は1〜3日程度。なるべく購入した日のうちに消費することをおすすめします。また鶏肉をたくさん購入して、買ってきたトレーのまま冷凍庫に入れて保存する方もいますが、この冷凍方法はNG。「冷凍焼け」といわれる状態になり、お肉の表面に霜がついて色が悪くなるだけでなく、食感がパサパサして味が落ちる、においが出るなどお肉本来のおいしさが失われてしまうのです。

そこでおすすめするのが、お肉をカットして「黄金の味」に漬け込んでから冷凍保存する“下味冷凍”。あらかじめ使いやすい大きさに切った鶏肉をジッパーつきのポリエチレン袋に入れ、たれを入れて揉み込んだら、お肉が均一になるように平らにならして冷凍するだけ。調理のたびにお肉を切るといった手間も省けます。

■部位ごとに切り方を変える!下味冷凍の応用編

<むね肉>
厚みが均等ではないむね肉は、あらかじめ“そぎ切り”にして下味冷凍にすれば、 解凍後はそのままフライパンに入れるだけでムラなく火が通るので炒めものに使えます。また、凍ったままのむね肉に衣をつけて唐揚げにすることもできます。

<もも肉>
様々な調理法に適したもも肉は、あらかじめ“ぶつ切り”にして下味冷凍するのがおすすめ。もも肉のコクのあるおいしさはそのままに、鶏肉のトマト煮や炒め物など幅広い料理に使えます。

※肉の重量に対してたれの量20~25%を目安に下味をつけてください。
※冷凍庫(マイナス18度以下)で保存し、2~3週間を目安にご使用ください。

エバラ食品工業株式会社 コミュニケーション部 菊岡裕子

エバラ食品工業株式会社 コミュニケーション部 菊岡裕子

管理栄養士 / フードコーディネーター1級 / お肉検定1級
2006年 エバラ食品工業株式会社 入社 マーケティング部にてメニュー開発を約10 年間担当
2016年 商品開発部にて「プチッとごはんズ」を開発
2018年 コミュニケーション部にてメニュー開発を担当

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