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おいしいNEWS TOPへもどる野菜博士・藤田 智が教える ベランダでできる!親子で楽しむ家庭菜園
採れたての野菜を味わえると人気の「家庭菜園」。野菜を作るというと難しそうですが、実はベランダでも気軽にはじめられます。土に触れながら、種や苗から自分で育てた野菜を食べるという経験は、お子さんの自然への興味を引き出すきっかけにも。
今回は恵泉女学園の大学教授であり、NHK『趣味の園芸 やさいの時間』にも出演する藤田 智さんに、初心者でも失敗しない家庭菜園のコツを聞いてきました。夏に向けて、親子で取り組んでみませんか?
まずは「何を作るか?」を決めよう
こんにちは、藤田 智です。私は長年家庭菜園の楽しさを広める活動をしていますが、多感なお子さんにこそ、ぜひ家庭菜園に触れてほしいと思っています。
毎日水やりをした種から芽が出たとき、花が咲いたときの感動。自分で育てた野菜のおいしさ。採れたての野菜に触れて「キュウリのトゲってこんなに痛いんだ」と気づく経験。これらは子ども に自信を与え、自然への興味を引き起こしてくれます。親子で土いじりをする過程は、貴重なコミュニケーションの時間にもなるでしょう。
とはいえ、お子さんにとって野菜はまず「食べるもの」ですよね。ですから最初のステップとしては、野菜に触れながら「どの野菜を育てるか」を考えてみましょう。
野菜は葉や茎を食べる「葉菜類」、果実を食べる「果菜類」、根を食べる「根菜類」の3タイプに分けられます。表を参考に「この野菜はどこを食べるのかな?」「この野菜はどんなふうに育つのかな?」などとお子さんに質問しながら、親子で育てる野菜を決めてみてください。考えるうちに、栽培の知識も深まってくるはずです。
プランターの準備と種まき・苗の植え付けをしてみよう
育てる野菜が決まったら、次はプランターの準備です。園芸店などに行って必要な器具を用意し、さっそくプランター作りをはじめてみましょう。準備の段階では使わない器具もありますが、これからいろいろな野菜を作ることを考えると、これらの道具はそろえておくと安心です。
まずは鉢底石と呼ばれる軽い石をプランターの底にしきましょう。これによって、土を直接プランターに入れるよりもはるかに水はけがよくなります。ネット入りのものは初心者でも扱いやすく、オススメです。
鉢底石をしいたら、プランターの縁から2~3cm下まで培養土を入れます。少しスペースを開けておくのは、縁いっぱいまで土を入れると、水やりのときに土が流れ出てしまうから。土を入れ終わったらプランターを軽く手でゆすって土を平らにし、表面を手でならしておきましょう。
このとき、お子さんといっしょにぜひ土の感触を手で確かめてみてください。手でギュっと握ると塊ができ、その塊を指で押すとすぐにポロリと崩れたら、おいしい野菜が育ついい土の証拠。塊ができなかったりすぐに崩れなかったりする土では、水もちや水はけが悪くなって野菜がうまく育ちません。
プランターの準備ができたら、あとは収穫まで育てていきましょう。プランターを置く場所は日当たりと風通しのいい場所を選んでください。ベランダなどに直接置くと、太陽熱で温度が上昇しすぎますので、棚やすのこの上に置くと安心です。害虫の被害を受けるのを防ぐには、防虫ネットをかけておくといいでしょう。
水やりは種まきや植え付け直後から、底穴から水が流れ出るくらいたっぷりと行います。その後は土の表面から乾いたら、同じように水やりをします。土が常に湿った状態だと、根が呼吸できずに根腐れを起こしてしまうためです。
プランター栽培では畑での栽培に比べて土の量が限られるうえ、水やりのたびに肥料が流れ出てしまいます。おいしい野菜を育てるには、定期的な肥料の追加が必須。最近では固形肥料、液体肥料ともにさまざまな種類のものが出ていますので、お好みのものを選んで水やりのときに与えてやりましょう。肥料をやる頻度は化成肥料なら2週間に一度、液体肥料なら1週間に一度を目安にしてください。
PROFILE:藤田智(ふじた・さとし)恵泉女学園大学人間社会学部教授:岩手大学農学部を卒業、同大学大学院を修了し、現在は教授として学生たちに生活園芸、園芸と社会、食育などを指導。テレビやラジオに出演する他、園芸関係の著書は130冊を超えている。家庭菜園や市民農園の指導や普及活動の他、日本の原風景の保全活動にも取り組んでいる。