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黄金コラム 2016.7.28

第11回
ごはん、肉、たれが織りなす奇跡!東京で人気の肉丼5軒を徹底食べ歩き!

東京、大阪でそれぞれの焼肉の魅力および、たれとお肉の相性について検証してきた「黄金カレンダー」編集部。今回は、大槻編集長の命を受け、肉食ライターの小寺慶子(こでら けいこ)が東京の肉丼の名店を食べ歩いた!「お店がこだわるたれとお肉の相性はもちろん、食欲をそそるボリュームやビジュアルも大事!」と豪語する小寺が、すっかり心を(胃袋も)つかまれたスペシャルな肉丼とは!? 定番のステーキ丼から、巷で大ブームを巻き起こしているローストビーフ丼まで、いま絶対に食べるべき肉丼を厳選してご紹介!

銀熊茶寮

昼限定のステーキ丼はご褒美ランチの決定版!


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「黒毛和牛のステーキ丼(¥2,200)」。ランチにのみ登場するスペシャル丼! 丼にはステーキと焼野菜が乗り、サラダ、小鉢、漬物、味噌汁、デザートがつく

"銀座の鉄板焼店"というと、やや敷居の高いイメージだが、コストパフォーマンスの高いお肉メニューで人気となっているのが『銀熊茶寮(ぎんくまさりょう)』だ。カウンター前の鉄板で熟練の職人が焼くステーキは、和牛の繊細なうま味が凝縮されている。ランチ限定の黒毛和牛のステーキ丼は、昼からその"口福感"に浸ることのできるスペシャルな一品。お肉は、サシと赤身のバランスを追求したA5ランクのランイチ(ランプとイチボになる部位)を使用している。

牛モモ肉のなかでも、きめの細かさとクセのない風味、濃厚なうま味を合わせ持つランイチは、1頭からとれる量も少ない稀少部位だ。そのお肉を130gも使った贅沢な丼に、小寺が「このクオリティでこのボリュームは、ほとんど奇跡です! まさに肉丼界のドン」と目を輝かせる。ひと口食べれば、シルキーなお肉の食感と、醤油に赤ワインを加えて煮詰めたという上品なたれのバランスに思わず舌を巻く。鉄板前の"特等席"でお肉が焼かれる様子を眺めれば、おいしさもひとしおだ。

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醤油ベースのたれに赤ワインを加えるのもポイント。「味わいに深みが出て、お肉の風味をより引き立てます」と料理長の阿部哲(あべ てつ)さん

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仕上げに鉄板上でお肉をフランベ。まわりをしっかりと焼き固めることで、うま味を閉じこめる。おいしさのための"演出"にテンション急上昇!

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鉄板前のカウンターのほかに、ゆっくりと食事を楽しみたいときは個室(2~6名様用・2室)もおすすめ。予約も可

  • 東京都中央区銀座6-3-11 西銀座ビル7F
  • 03-3573-4333
  • 11:30~LO13:30/17:00~LO22:30
  • 日休
  • 34席
  • ※価格はすべて税込となります

the 肉丼の店

メガ級のうまさが胸を打つ、名物肉丼に感動!

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「名物レアローストビーフ丼(¥1,600)」。圧巻のビジュアルもさることながら、3日かけて仕込むというローストビーフのうまさにも心が奪われる

都内屈指のディープタウンである蒲田に、行列のできる肉丼の店がある。そう聞きつけ、気合いと期待たっぷりの小寺がやってきたのは『the 肉丼の店』。店名を見るなり、小寺が「ストレートっていうか、そのまんまですね」とつぶやく。この直球すぎる店名のとおり『the 肉丼の店』では5種の肉丼を用意している。なかでも人気なのが「名物レアローストビーフ丼」。最近、ローストビーフ丼の専門店が急増しているが、こちらの店の"行列の秘密"は、なんといってもその盛りつけにある。

運ばれてきたメガサイズの「名物レアローストビーフ丼」を見て、「こ、これは、まさにお肉のモニュメント!」と思わず"目が点"になる小寺。ボリュームに圧倒されつつ、「まずはローストビーフをひと切れ。そのあとにごはんを巻いて、卵黄をつぶして、別添えのソースで味の変化を楽しむのがおすすめです」とスタッフの川添大樹(かわぞえ ひろき)さん。アドバイスをいただきつつ、ローストビーフをほお張ると、お肉のしっとりした食感にうっとり。下味をつけながら3日かけて仕込むというだけあって、うま味たっぷりでジューシー! コチュジャンベースのたれがかかったごはんをお肉で包んで食べれば、ピリッとした辛さ、後を引くうまさに箸が止まらない。圧倒的なおいしさに、1度食べたらヤミツキになること間違いなしだ。

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カルビはフライパンでサッと焼き上げる。ディナーで提供するお肉と同等のものを100gも使用

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現在、店を切り盛りするのは2代目の遠藤照明(えんどう てるあき)さん。「おいしいお肉を召し上がっていただくため、採算度外視で頑張っています!」

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通常サイズのほかにメガサイズもある。「女性でメガ(サイズ)を頼まれるお客様も多いですよ」とスタッフの川添さん。「名物レアローストビーフ丼のほかに、極上やわらかステーキ丼もおすすめです!」

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カウンターのみの店舗だが、お客の回転は速いので行列時以外の待ち時間が意外と少ない

  • 東京都大田区西蒲田7-5-5 第6菊地ビルSPACYプラザ蒲田1F
  • 03-6424-7077
  • 11:00~LO22:30
  • 無休
  • 9席
  • ※価格はすべて税込となります

びーふてい

身も心もとろける!? 人気焼肉店のランチ限定丼

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「カルビ丼(¥980)」。1日10食でランチ限定のカルビ丼は12時前に売り切れてしまうことも。胡麻油がふんわり香るさっぱりだれと、カルビの脂の甘さが絶妙なバランス!

お肉好きにとって中目黒はいわずと知れた焼肉店がひしめく街。ひとり焼肉をライフワークとする小寺も足繁く通うエリアだ。なかでもコスパの高さで多くのお肉好きに愛されているのが『びーふてい』。いまでこそ、牛の一頭買いを強みとする店は少なくない。しかし、同店がオープンした30年前は、そうしたスタイルでお肉を提供する店はほぼなかったという。ディナーの名物は、こだわり抜いたA5ランク黒毛和牛のヒレやサーロインを塊で焼く「ガツン焼き」だが、ランチでもお肉へのひたむきさは健在。

それが早いときには昼12時前に売り切れてしまうという限定10食の「カルビ丼」だ。「時間があまりなくてもランチで焼肉を堪能したい! という気分を存分に満たしてくれる丼です」と、小寺も太鼓判を押す。その「カルビ丼」は、焼肉のつけだれをベースに胡麻油、洋がらしなどを加えたたれと、カルビの相性が抜群! 後味のさっぱりとしているたれが、カルビの脂の甘さをいっそう引き立てている。

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カルビはフライパンでサッと焼き上げる。ディナーで提供するお肉と同等のものを100gも使用

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現在、店を切り盛りするのは2代目の遠藤照明(えんどう てるあき)さん。「おいしいお肉を召し上がっていただくため、採算度外視で頑張っています!」

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カジュアルで清潔な店内。煙が気にならないのもポイント。カルビ丼の提供はランチのみだが、ディナーは名物「ガツン焼き」など、お肉好きの心に響くメニューが充実!

  • 東京都目黒区上目黒2-6-9 マルモビル1F
  • 03-3719-7025
  • 11:30~LO14:00(ランチは火水木のみ)/18:00~LO22:30
  • 無休
  • 28席
  • ※価格はすべて税込となります

豚大学

安旨店ひしめく新橋に、ひときわ輝く"インパクト丼"あり!

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「豚丼 特大(¥1,020)」。醤油に、にんにく、オイスターソースを加えたたれにくぐらせて焼いた豚バラ肉が300gも。ごはんと合わせた総重量はなんと1kg!

サラリーマンの聖地・新橋には、働く人々の胃袋と元気を支える安旨店が軒を連ねる。そんな安旨店激戦区で、ファンを増やしているのが『豚大学』だ。店先に張られた「豚丼 特大」のビジュアルを見て、お肉好きを豪語している小寺も「偏差値…、いや、カロリーが気になりますね」と、なぜか弱気に。しかし、ここで特大を食べねば肉食ライターの名がすたる。ということでいざ入学(店)!

「豚丼」のサイズは小、中、大、特大の4種。狙いを定め、券売機で特大を購入し待つこと5分。運ばれてきた「豚丼 特大」は思わず目が釘付けになるほどの"インパクト丼"。その迫力に圧倒されつつ、豚バラ肉とごはんをほお張ると、強烈なうま味とともに、至福のときに包まれる。「見た目はかなりハードな印象ですが、味はとても上品。お肉もジューシーで柔らかく、甘辛だれとの相性もいい」と、想像以上の"おいしさ偏差値"の高さに小寺も上機嫌。夏バテ気味の体に、おいしく手早くスタミナ補給をするにもおすすめだ。新橋の丼で胃袋と元気を満たしたいなら、迷うことなく『豚大学』を訪れたい!

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これは、まさしく丼一面に咲く"肉の花"。可憐(!?)なビジュアルが食いしん坊の目も心も癒してくれる

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スタッフのサビタさん。「お肉にこだわりのたれをつけながら繰り返し焼くのがポイント。香ばしい味がクセになります!」

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昼夜問わず"入学希望者"が後をたたない。その日のコンディションで丼のサイズは、小、中、大、特大から選ぶことができる

  • 東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル1F
  • 03-5512-3121
  • 10:30~LO21:45(土日祝11:00~LO15:00/16:30~LO20:15)
  • 奇数月の第2日曜休(そのほかニュー新橋ビルの休館日に準ずる)
  • 13席
  • ※価格はすべて税込となります

赤坂 津つ井

食通に愛され続ける老舗洋食店の名物肉丼

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「名物ビフテキ丼(¥ 2,808)」。バターのコクがたれのうま味をいっそう引き立てる。「つゆだく」でオーダーする常連も

子どもから大人まで幅広い世代に愛される洋食には、オムライスやビーフシチュー、コロッケなど、人気メニューが多い。日本の洋食店の草分け的存在でもある『赤坂 津つ井』で、そんな多くの洋食通をとりこにしてきたメニューが「名物ビフテキ丼」だ。たまり醤油にみりん、砂糖などを加えたたれにくぐらせ、網焼きにした黒毛和牛のロースは、しっとりと柔らかく、とろりと溶けたバターやブラックペッパーの風味と相まって、思わず笑みがこぼれるおいしさ。

「お肉の質はもちろん、おいしさを左右するのは火入れ。網焼きにすることでよぶんな脂を落としながらベストな状態に焼き上げる」とはスタッフの小田浩久(おだ ひろゆき)さん。50年以上続く老舗の味に魅せられた小寺は、「たれは甘めですが、後味はすっきり。サシが入ったロースとのバランスが絶妙」と、丼をほお張りながら、至福の表情。「肥えた舌はうならせる、笑顔のほおはおとしてみせる」という初代の言葉に偽りはない。由緒ある肉丼の味をじっくりと堪能し、感動しきりの小寺であった。

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網のうえでお肉をベストな状態に焼き上げる。基本的にはミディアムレアで提供。きめ細かな肉質が際立つ

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お肉にたれをつけながら2~3度繰り返し焼く。仕上げにもたっぷりとたれをかけるが、クドさは皆無。かぐわしい香りに食欲がそそられる

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お肉にたれをつけながら2~3度繰り返し焼く。仕上げにもたっぷりとたれをかけるが、クドさは皆無。かぐわしい香りに食欲がそそられる

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「お肉とたれのコンビネーションにこだわっています。落ち着いた空間でゆっくりと名物ビフテキ丼をご堪能ください!」とスタッフの小田浩久さん

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日本を代表する洋食店らしいモダンでシックな空間。会食向きの個室や、ひとりで食事を楽しむのにぴったりなカウンター席もある

  • 東京都港区赤坂2-22-24
  • 03-3584-1851
  • 11:30~LO14:30/17:00~LO21:30(土日祝12:00~LO15:00/16:30~LO21:30)
  • 第1・第3日休、祝日の月休
  • 103席
  • ※価格はすべて税込となります

■「黄金カレンダー」編集部 小寺コメント

「お肉、ごはん、たれと、ベースは決まっているのに、お店によって個性がまったく異なることに驚きました。肉丼の可能性たるや恐るべし! 食材がシンプルな分、各調理工程を丁寧に、工夫をこらしているのも肉丼ならでは! たれも肉の味が際立つようシンプルなものが多いんですよね。これらをヒントに、黄金の肉ごはんのレシピを考えてみようと思います!」

Photos/Hajime Tomizawa, Text/Keiko Kodera